Part 3 スチュアート・ガーナーCEOに聞く「ノートンの今」

ノートンを復活させるべくCEOとなったスチュアート・ガーナーは、2009年のボンネビル・フラットでの最高速チャレンジ(ロータリーエンジンで180mphの世界記録を樹立)で、自らライダーを務めたほどのエンスージアストである。そのスチュアートが考えるノートン復活のシナリオはどうなっているのか。マン島TTでスチュアートに直接話を聞いた。

 

●ノートン復活の舞台として、なぜマン島TTを選んだのでしょう?
【スチュアート】ノートンは1907年に開催された第1回マン島TTに参戦し、優勝しています。その後、数多くのレースで勝利を挙げてきましたが、ノートンの歴史はマン島TTとともに始まったと言っても過言ではないでしょう。だからノートン復活の舞台として、マン島TTを選んだのは必然でもあるのです。また、私たちはまだレースを戦える市販車を持っていません。従って、SBK(スーパーバイク世界選手権)やBSB(英国スーパーバイク選手権)といったホモロゲーションモデルが必要なレースに参戦することは難しい。しかしMotoGPやマン島TTならプロトタイプのレーシングマシンで出場できます。

●MotoGP参戦のウワサも聞きますが、その真相は?
【スチュアート】2年前にドルナ(MotoGPを運営する企業)と話をしていたことは事実です。しかし諸問題があったため、実現に至りませんでした。

●レース復活にはどんな狙いがあるのでしょう?
【スチュアート】私たちノートンは、新しいテクノロジーとシステムを持ったレーシングバイクを2~3年後に発表する準備をしています。新しいV4エンジンとISRブレーキ、アクティブサスペンションなどを備えたマシンです。そのための技術の習得と、ノートンのブランド力を高めるためにもTTは最適な場所と考えています。12人のチームスタッフは全員モーターサイクルレース専門のメカニックを揃えました。

●マン島TTでの今年の目標は?
【スチュアート】SG2は新たに開発したレーシングマシンなので、まずは完走することが第一目標。順位はシード権を得られる20位以内を狙っています。TTではシード権を持っていれば、天候が不安定なときでも最初にスタートできレースを有利に運べるからです。

●SG2は目標を達せられそうですか?
【スチュアート】自信はあります。しかしこれはTTです。やってみなければ結果がどうなるかは誰にもわかりません。TTレジェンド(マイケル・ダンロップとジョン・マクギネスが在籍するホンダのトップチーム)は強豪ですし、ニューカマーのなかでジョシュ・ブルックス(Tyco SUZUKI)は予選でいいタイムを出しています。MotoGPやSBKといったシーズンを通して戦うレースと違い、TTはたったの2週間で結果を出さなければならないので、常に緊張が強いられます。しかし私たちはトップ20に入れる自信があります。ノートン復活の物語はすでに始まっているのです。

 


ノートンCEOであり、チーム監督も務めるスチュアート・ガーナー。ピットでも常にチーム全体に目を配り、チームスタッフをまとめている。


イアン・マックマン選手(#21)。TTには2007年から参戦しており、英国選手権での経験も豊富。スーパーバイクTTで18位、シニアTTで24位の成績を収めた。


スチュアート・ガーナー。ノートンブランド復活に全身全霊をかたむけるノートンCEOでありバイクエンスージアスト。2009年のボンネビル・フラットでの世界記録挑戦ではライダーを務めた。


スチュアート・ガーナーはチーム監督でありながら、ツールを手にマシンのメンテナンスも行う。バイクが心底好きで、ノートンを愛しているエンスージアストだからこその行動だ。


ダニエル・ヘガティ選手(#38)。2006年からBSBに参戦。マン島TTには2010年から参戦しており、今年はシニアTTで34位完走というリザルトを残した。

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